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「台所」ということばの語源からはじまり、明治時代から現在のシステムキッチンの登場まで、日本の台所事情の変遷をご紹介します。
台所の語源 流しの登場
Kitchenの語源は、ラテン語のco-quina(火を使うところ)、古来語ではcycene(クチーナ)で、これらが転じてキッチンとなったといわれています。
日本語でキッチンは、「台所」。語源は平安時代の台盤所からきています。台盤所とは、貴族たちが食生活を行うための部屋の総称で、配膳のための盤(現在の皿)を乗せる台が置いてあったところからこの名がつきました。
調理するための場所を「台所」と一般的に呼ぶようになったのは中世になってからです。 江戸時代にはいると、食材や食器などの洗浄は井戸端や川辺で行い、家に持ち帰り竹の簀の子(すのこ)などによる木製の流しを使って台所仕事が行われはじめました。
明治時代の庶民住宅の台所
文明開化の波は届かず
明治の文明開化の波は、庶民住宅にまでは届きませんでした。とくに台所となると言うまでもありません。
それまでと同じように、台所は床上空間と土間空間とに分かれ、床上に竈(かまど)、土間に蹲踞(つくばい)式流しというのが一般的でした。まだガスが燃料として採り入られておらず、竈(へっついとも言う)と七輪が床上で使われていました。また台所の床の一部が揚板になっており、今風にいうと床下収納庫がしつらえられたりしていました。
水道が普及しはじめると、土間の簀の子の上の置き流しに水が注げるようになりました。しかし、火や水を使うためには、しゃがみこまなければなりませんでした。
明治時代の庶民住宅の台所(つくばい式)