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いまなお作りつづけられている「長州風呂」

鋳物ホーロー浴槽。なめらかな質感、高級感あふれる輝きで、その品質は国内外の高級ホテル、また建築デザイナーに広く認められています。
この鋳物ホーロー浴槽、ルーツはなんとあの五右衛門風呂。
体の芯から暖まり、環境にも優しいという特長を、鋳物ホーロー浴槽は1000年の昔から受け継ぎ、今に進化し続けています。 【資料提供 大和重工株式会社】

●いまなお作りつづけられている「長州風呂」

長州風呂の由来
明治時代中期、広島の鋳物職人が芸州風呂あるいは広島風呂という名前で売り出したが、
当時の政治の実権は勤王派にあったため、佐幕側だった広島藩の名前は京都・大阪での評判が悪く売れ行きが良くなかった。
そこで広島商人が「長州風呂」と名づけ売り出したところ、今度は大変良く売れた、という説があります。

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昭和30年頃の長州風呂工場
長州風呂の特長
桶風呂に比較して、鋳鉄製の釜全体を加熱できるので湯の沸きが早い。
また薪など燃料の余熱で温まった浴槽から熱が体に伝わり、そのうえ体を包み込むように浴槽内を絶えずお湯が対流しているので、体全体が温まりやすく湯冷めしにくい、心地よい入浴感が得られます。
底だけ鉄製の「五右衛門風呂」に比べ継ぎ目がないので水漏れがなく、耐久性があります。
鋳物(いもの)とは?
長州風呂は、廻し型からできた鋳型(砂型)を用い、そこにできた中空の部分に溶けた鋳鉄を注ぎ込むことで作られた鋳造製品「鋳物(いもの)」です。
鉄が貴重品だった頃は、できるだけ薄く仕上げるのが商品としての絶対条件でした。現在でも3~4mmという薄さで人間が入る大きさの浴槽を作るには、精密な鋳型、型に使う砂の調合方法、溶かした鉄の成分、温度など、特に注意が必要とされています。

 

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鋳物工場。
炉から溶けた鉄を浴槽の型に
流し込んでいます。
鉄製の浴槽なのに、なぜさびが奥まで進行しないの?
長州風呂は、通常の鉄とは違い炭素を含む鋳鉄製です。この炭素が浴槽内部へのさびの進行を防いでいます。
「エコ商品」長州風呂の現在と未来
薪からガス、電気へのエネルギーのシフト、また都会では火が焚けなくなり、建築工法がユニット化、炉を築く職人さんが少なくなるなどで、長州風呂の需要は減少してきました。
しかし昨今、長州風呂の良さを見直す動きも見られます。
間伐材やごみなど燃料が自給でき、資源を有効活用できるうえ、浴槽自体も鉄製品なので、壊れても炉で溶かされ、再び私たちの生活に役立つ商品に生まれ変わります。
長州風呂はまさに「エコ商品」なのです。また体の芯から温まり本来の入浴を味わえる、という根強いファンが多数いらっしゃいます。このような理由から、長州風呂は現在なお作りつづけられており、アウトドア用の長州風呂も販売されています。

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